仙台市内の中学生が世界最先端の放射光施設ナノテラスで実験!本学の研究者と一緒に昆虫や火山岩の構造を可視化お知らせ
2025.9.01
「昆虫や火山岩の中はどうなっているのだろう。調べてみたい!」――そんな夢を抱いた仙台市の佐藤剛人さん(中学1年生、応募当時小学2年生)が、東北大学主催の絵画コンクールで特賞を受賞。副賞として、 世界最先端の放射光施設「ナノテラス注1」のビームライン注2の一日使用権を獲得し、2025年4月にその夢が実現しました。
当日は国際放射光イノベーション・スマート研究センター(SRIS)の研究者とともに、昆虫や火山岩、恐竜の歯の中をX線で撮影し、微細な内部構造を三次元CT注3画像として可視化することに成功しました。研究者も驚くような内部構造や表面構造を調べることができました。SRISは未来を担う若い世代の夢を後押しする取り組みを今後も継続します。また、佐藤さんがナノテラスで実験する様子をウェブサイト上で公開しました。
詳細
東北大学SRISでは、2021年に「第1回次世代放射光と仙台の未来絵画コンクール 見えたらいいなの世界展」と題した絵画コンクールを実施し、子どもたちの未知の世界を自由に描く作品を募集しました。当時、仙台市内の小学2年生だった佐藤さんは、巨大化した昆虫や火山内部を探検するなどの、独創的な絵で特賞に選ばれ、副賞として、当時は建設中だった3 GeV 高輝度放射光施設「ナノテラス」のビームラインの1日使用権を手にしました。
その後、ナノテラスが 2024 年に東北大学 青葉山新キャンパスにて本格運用を開始し、2025年4月には、佐藤さんの実験がついに実現しました。実験では、SRISの教員や光科学イノベーションセンター(PhoSIC)の技術スタッフが安全管理と装置操作をサポートし、昆虫や火山岩などを360度回転させながらマイクロメートル角のX線ビームで三次元CT画像を撮影しました。取得データはその場で解析され、クモの毛や筋肉の構造、火山岩の微細な空孔、恐竜の歯の内部構造などが三次元的に浮かび上がりました。
佐藤さんは先端的な研究を行う大型研究装置を用いた研究を体験し、モニターに現れる鮮明な三次元画像に目を輝かせていました。実験後、佐藤さんはSRISの研究者たちと研究の魅力について語り合いました。今回の試みは、最先端の研究設備を若い世代の夢を具現化する重要な機会となりました。
その後、ナノテラスが 2024 年に東北大学 青葉山新キャンパスにて本格運用を開始し、2025年4月には、佐藤さんの実験がついに実現しました。実験では、SRISの教員や光科学イノベーションセンター(PhoSIC)の技術スタッフが安全管理と装置操作をサポートし、昆虫や火山岩などを360度回転させながらマイクロメートル角のX線ビームで三次元CT画像を撮影しました。取得データはその場で解析され、クモの毛や筋肉の構造、火山岩の微細な空孔、恐竜の歯の内部構造などが三次元的に浮かび上がりました。
佐藤さんは先端的な研究を行う大型研究装置を用いた研究を体験し、モニターに現れる鮮明な三次元画像に目を輝かせていました。実験後、佐藤さんはSRISの研究者たちと研究の魅力について語り合いました。今回の試みは、最先端の研究設備を若い世代の夢を具現化する重要な機会となりました。
東北大学SRISは、先端科学を通じて若い世代の夢を全力で後押しし、今後も地域と協力した教育・科学の推進活動を積極的に進めてまいります。

今回ナノテラスで実験を行った仙台市の中学1年生・佐藤さん。

ビームラインでの試料の取り付け風景

ビームラインでクモの三次元CT画像を解析する様子。

東北大学SRISの研究者たちと研究の魅力について語り合いました。
謝辞
絵画コンクールは、本学、一般財団法人 光科学イノベーションセンター(PhoSIC)、および国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(QST)の主催・共催のもと、宮城県、宮城県教育委員会、仙台市、仙台市教育委員会の後援を受け開催されました。また、ナノテラスでの実験は、PhoSIC、およびQSTの多大なるご協力のもと実施に至りました。
用語説明
注1. ナノテラス
正式名称を3GeV高輝度放射光施設と言い、2024年に東北大学青葉山新キャンパスで本格稼働しました。電子を光速近くまで加速し、その軌道を曲げた際に生じる強力なX線(放射光)を使って、マイクロメートルからナノメートルスケールの構造解析を行う「巨大な顕微鏡」の役割を果たします。
正式名称を3GeV高輝度放射光施設と言い、2024年に東北大学青葉山新キャンパスで本格稼働しました。電子を光速近くまで加速し、その軌道を曲げた際に生じる強力なX線(放射光)を使って、マイクロメートルからナノメートルスケールの構造解析を行う「巨大な顕微鏡」の役割を果たします。
注2. ビームライン
加速器で生まれた放射光を目的の実験装置まで導く通路と光学機器の総称です。ミラーや分光器で光の性質を整え、末端の実験ステーションで試料に照射して測定します。ビームラインごとに用途やエネルギー範囲が異なり、多彩な研究に対応できます。本実験ではナノテラスのBL09Wと呼ばれる3次元CTが可能なビームラインを使用しました。
加速器で生まれた放射光を目的の実験装置まで導く通路と光学機器の総称です。ミラーや分光器で光の性質を整え、末端の実験ステーションで試料に照射して測定します。ビームラインごとに用途やエネルギー範囲が異なり、多彩な研究に対応できます。本実験ではナノテラスのBL09Wと呼ばれる3次元CTが可能なビームラインを使用しました。
注3. 三次元CT(3Dコンピューター断層撮影)
試料を少しずつ回しながらX線を照射し、複数方向から透過画像を取得してコンピューターで合成することで、内部構造を立体的に再現する撮影技術です。医療用CTをさらに高精細にしたもので、ミクロな世界まで「中身」を可視化できます。
試料を少しずつ回しながらX線を照射し、複数方向から透過画像を取得してコンピューターで合成することで、内部構造を立体的に再現する撮影技術です。医療用CTをさらに高精細にしたもので、ミクロな世界まで「中身」を可視化できます。
詳細ウェブサイト:https://sris.tohoku.ac.jp/nanotan/competition.html
絵画コンクール:第1回「次世代放射光と仙台の未来」絵画コンクール
絵画コンクール:第1回「次世代放射光と仙台の未来」絵画コンクール
お問い合わせ
東北大学 国際放射光イノベーション・スマート研究センター
〒980-8572 仙台市青葉区荒巻字青葉468−1