Tohoku University, International Center for Synchrotron Radiation Innovation Smart (SRIS)

研究者紹介researchers

研究者プロフィール

放射光次世代計測科学連携研究部門 Synchrotron Next Generation Measurement Science Collaboration Research Division

田中 遼 TANAKA Ryo 特任助教
研究テーマ
  • 遷移金属錯体を対象とするX線分光解析環境の構築と応用
  • ベイズ推定を利用した微弱信号解析環境の構築
研究キーワード
強相関物質、X線分光理論、ベイズ推定
研究概要

X線分光スペクトル計算による強相関物質の電子状態研究

 X線分光法は、多彩な物性(例:金属―絶縁体転移、高温超伝導、巨大磁気抵抗)を示す強相関物質の電子状態を調べる強力な研究手法です。特に、内殻励起に伴う価電子応答を通じて物質の電子状態を探る手法であり、磁気や軌道に関する情報を元素選択的に得られるという大きな特色があります。本研究では、量子多体効果を正確に考慮したX線分光スペクトル計算を通じて、物質の電子状態の解明に取り組んでいます。
 近年、NanoTerasuをはじめとする放射光施設の高輝度・高分解能化によって、強相関系特有の電子状態がスペクトル微細構造として直接観測されるようになり、実験結果を定量的に理解するための高度な理論解析手法の必要性が高まっています。
 このような背景のもと、本研究では以下の3つの柱を軸に計算コードの開発を行っています。1つ目は、内殻光電子分光(XPS)やX線発光分光(XES)などの各種スペクトル計算コードを、吸着系や錯体結晶、アモルファスなど並進対称性をもたない物質群に適用可能となるよう拡張し、より多様な研究課題に対応できる解析基盤の構築を目指す。2つ目は、スピン・偏光・角度分解XPSの解析できるように計算コードを高度化する。3つ目は、実験データ解析において課題である低い検出効率による微弱信号(例:XPSとXESのコインシデンス信号)の抽出に対し、統計的手法である「ベイズ推定」を用いたモデル妥当性判断に基づく新しい信号抽出法を確立する。"