Tohoku University, International Center for Synchrotron Radiation Innovation Smart (SRIS)

研究者紹介researchers

研究者プロフィール

農業・食品スマートラボ Agriculture / Food Smart Lab

日高 將文 HIDAKA Masafumi 助教
研究テーマ
  • 放射光を利用した農・食の研究分野開拓
  • タンパク質の構造機能解析および機能開発
     
研究キーワード
食品, 農業, 農芸化学, 放射光生命農学, 酵素, タンパク質
研究概要

農芸化学の視点から推進する放射光による農・食資源の構造機能解析

 農芸化学は、生命現象を分子レベルで理解し、農産物や食品の品質・機能性向上に寄与する学際的分野である。その中でも近年目覚ましい発展を見せているのが、放射光を用いた非破壊・高分解能な分析技術を農・食資源に応用するアプローチである。
 X線位相差CTやX線吸収分光といった放射光分析法により、加熱や凍結などの食品加工処理が植物組織や高分子材料に与える影響をミクロな構造レベルで可視化・定量化することが可能となってきた。たとえば、調理条件の異なる野菜類において、密度分布や細胞構造の変化が食感や物性と密接に関係することが示されており、これにより食品の品質評価をより科学的に行う道が拓かれている。
 これらの成果は、農芸化学の基盤的研究に新たな可視化技術を導入するものであり、農産物の栽培条件、収穫後処理、加工・保存技術の最適化に資する知見を提供している。今後は、NanoTerasuをはじめとする次世代放射光施設を活用し、農学・食品科学・材料科学を横断する構造機能研究のさらなる展開が期待される。

X線位相差CTで可視化された枝豆の中の密度分布

冷凍条件下で可視化されたアイスクリームの中の微細な空隙構造